そのため、線量計だけでは、放射性セシウムが福島原発事故前と同レベルまで除染されたのかを実証することは困難です。
○土壌
平成21年度47都道府県の1~2地点で年1回採取した試料(深さ0~5cm)の平均値及び最小、最大値は次のとおりです。
深さ | 種類 | 平均値 | 最長値 | 最大値 | 状態 | 試料数 |
---|---|---|---|---|---|---|
0~5cm | セシウム137 | 11 | 0.14 | 60 | 乾土 | 49 |
文部科学省より引用 http://www.kankyo-hoshano.go.jp/08/ers_lib/ers_abs52.pdf
福島原発事故前の平成21年度における土壌からの放射性セシウムは全国平均で11Bq/kgでしたが、現在ではかなり高濃度の放射性セシウムが土壌から検出されております。しかし、線量計ではその数値を計る事が出来ません。
○ 実際に当社でも、線量計と測定器で実験してみました。(実験で使用している土は、表土5cmの土を使用しております。)
線量計 (1分間測定 5回の平均値) |
測定器 (NaI(TI)シンチレーションスペクトロメータにて測定) |
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①放射線量率は0.063μSv/h | 放射性セシウムの放射能濃度は323Bq/Kg |
※放射能濃度は(Cs134、Cs137)の合計値です。 |
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②放射線量率は0.122μSv/h | 放射性セシウムの放射能濃度は248Bq/Kg |
上記の結果から、放射線量率が①は②の半分でも、土壌の放射能(ベクレル数)は逆に多くなっている事例もあり、線量計だけでは土壌の放射能(ベクレル数)は分かりません。したがって、除染効果の確認は線量計では不十分です。
下記は弊社にて平成26年度に測定した放射線量率の結果です
また、上記の値は食品衛生法第11条内で定められている一般食品における放射性セシウム100Bq/Kgの値よりも高くなっております。土壌は食用することはありませんが、手などに付着したり、埃として体内に吸引することが考えられます。
現在土壌に関する基準はありませんが、除染後の土壌については、少なくとも一般食品と同じ100Bq/kg以下が望ましいです。しかし、線量計ではその数値を計ることが出来ません。
弊社では除染後における確認調査と致しまして、放射線測定はもちろんのこと、サンプリング、放射能測定を全てセットでも行わせていただきますので、是非この機会にお問い合わせください。
現在問題となっている主な放射性物質は、放射性セシウム(セシウム134、セシウム137)です。
福島第一原子力発電所の事故当初は、それに加えて大量の放射性ヨウ素(ヨウ素131)が大気中へ放出されましたが、半減期が短いため、現在ではほとんど消失されたと考えられております。
・物理学的半減期…放射性物質が放射線を出す量が半分に減少するまでの期間
・生物学的半減期…体内に入った放射性物質の量が、排泄・代謝によって体外へ排出される事により半分に減少するまでの期間
名称 | 物理学的半減期 | 生物学的半減期 | 人体で蓄積 しやすい部位 |
特徴 |
---|---|---|---|---|
ヨウ素131 |
約8日 |
幼児では11日、5歳児では23日、成人では80日 |
甲状腺 | 半減期が短い為、現在ではほとんど残っていません |
セシウム134 |
約2年 |
10歳までは20日、 成人では70日 |
筋肉 | 土や粘土、有機物などに強く結合しやすい |
セシウム137 |
約30年 |
一般的には除染作業が有効だと言われています。
現在、福島県を中心とした広い範囲において、主に放射性セシウムに着目した除染活動が進められております。
現状の除染作業には大きく分けて3つの方法があります。
環境中の放射性物質による被ばく線量を下げるための方法
図:環境省除染総合サイトより